キーワード解説




7    巡回セールスマン問題(TSP)
■巡回セールスマン問題(TSP)とは?
簡単にいうと,複数の都市を,最も短い距離でまわる順番を求める問題です.セールスマンは,なるべく短い距離で都市間を移動することにより,効率的にセールスを行うことができます.
 
■巡回セールスマン問題(TSP)はどのような事柄に応用されるか
巡回セールスマン問題といっても,セールスマンのみに有用な問題ではありません.巡回セールスマン問題は実際に次の事柄に応用されています.
・基盤穴あけ
・スケジューリング
・ルーティング
・運搬経路計画
最も有名であるものとして基盤の穴あけが挙げられます.基盤の穴あけで,複数の穴をあける場合を考えてみます.1つの穴あけを終わり次の穴をあけようとするとき,ドリルまたは基盤の移動が必要になります.当然,この移動には時間がかかります.よってこの穴あけの順番によって移動距離は変わり,速く終了する順番,遅く終了する順番が発生します.一枚の基盤を完成させる時間の数秒かもしれません.しかし,工場では何千,何万枚という基盤が作られます.工場にとっては数秒の時間の差が,大きな時間のロス,生産性低下,無駄な機器稼働経費浪費につながるのです.
 
■何故このような古くさい問題が未だに研究されているか
通常,コンピュータで,ある事柄に最も適した組み合わせを求める場合,全ての組み合わせを検索し,最もよいものを求めます.都市数Nの巡回路の組み合わせは(N-1)!/2通りとなります.つまり,(N-1)!/2種類の組み合わせ全部の経路の長さを調べて,比較し,たった一つの組み合わせを見つけるわけです.(N-1)!/2通りという数にピンと来ないかもしれませんが,とてつもない数です.例えば,10都市の巡回路の組み合わせは,9×8×7×6×5×4×3×2×1÷2=181440通りとなります.今時のコンピュータでも,15都市の最短巡回路を求めるために,何時間もかかってしまいます.16都市,17都市となると何日というレベルに達します.このようなことから,TSPは未だに解を求めるために良い方法が見つかっておらず,様々なアプローチで研究されているのです.またTSP遺伝的アルゴリズムニューラルネットワークなどのベンチマーク問題としてもよく用いられています.
 


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