キーワード解説




4    マルチエージェント
マルチエージェントシステムとは,複数の存在しているユニットが集中管理されて稼働しているシステムではなく,自律的に動作する複数のユニット相互に作用することによって成り立っているシステムを指す.マルチエージェントシステムの特長として,
  • 頑強性が高い
  • 柔軟性が高い
  • 負荷の分散性が高い
ことが挙げられる.
マルチエージェントが関連する分野は工学分野だけではなく,自然界の中にも多く存在する.その例として,神経ネットワーク,免疫,社会的昆虫群の行動が挙げられる.その中でもアリの群行動は頻繁に話題に挙げられている.アリ一個体の能力は決して高いものではないのにかかわらず,群という単位では非常に高いレベルの知的行動をとる.アリの群はある特定の一匹が全体の振る舞いを管理しているわけではない.個々のアリが自分が得られる分散的な情報と,他個体との相互作用から自律的に判断し,自律的に行動する.この各個体毎の行動が,マクロレベルの観点からは,郡全体にとって適した,高度な知的行動となる.
その中でも工学的に応用されているもので,アリの最短経路生成がある.これはアリの群がアリの巣から餌までの経路として最終的に最短であるコースを生成するものである.仮に複数の人間が障害物がたくさん存在する全体を把握できないくらい広いフィールドに投げ出されたとして,スタートからゴールまでの最短経路を求めようとしても不可能に近いのは簡単に予想される.それほど高度なことをアリの群はおこなう.
具体的なアリの群行動モデルの工学的な応用としてアントコロニー最適化(ACO)メタヒューリスティクスが挙げられる.これは組み合わせ最適化に用いられるもので,成果としては巡回セールスマン問題(TSP),画像の領域分割問題であげられている.特にTSPを対象としたものはアントシステム(AS)と呼ばれる.


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